2025.05.15

社宅契約とは?社宅契約の基礎知識や社宅契約書についても紹介

社宅契約とは?社宅契約の基礎知識や社宅契約書についても紹介

社宅を提供する企業と入居する従業員の双方にとって大切な社宅契約について詳しく解説します。
そもそも社宅制度とはどういった制度なのか、その導入メリットについても触れながらスムーズな社宅運用のポイントを紹介していきます。

社宅制度とは

まずは社宅制度を整備する意味について確認しましょう。

社宅制度とは、福利厚生の一環として企業から従業員へ住宅を貸与する制度です。一般的に、周辺の賃貸物件よりも安い家賃で提供されることが多く、従業員がメリットを実感しやすい福利厚生の一つとして注目されています。

また、企業にとっても、従業満足度が高まり業務の生産性があがる他、人材採用の観点からは競合他社との差別化になったり、節税対策につながるなど、導入メリットの大きい制度であると言えます。

社宅契約とは

次に、従業員が入居する際に必要となる「社宅契約」の基礎的な紹介です。

社宅契約とは

社宅契約とは、入居者を雇用する企業と賃貸物件の貸主の間で結ばれる法人契約で、賃貸物件を借り上げるために結ばれます。一般的な賃貸物件の個人契約とは異なり、社宅契約が結ばれると、入居する従業員は貸主ではなく企業に家賃を払う流れになります。

家賃補助との違い

企業から従業員へ、給与に家賃分の金額を上乗せして補助するのが家賃補助です。従業員の住居を補助するという目的は社宅制度と同じですが、家賃補助は課税所得が増えることになるため、所得税や住民税、社会保険料も合わせて増額されます。社会保険料は従業員と企業が折半して支払うため、双方の負担が増えることになります。

一方、社宅の賃料は給与から差し引かれるため、課税所得が減り、税金や社会保険料は減額されることになります。

社宅契約のメリット

社宅運用に関わる費用は、福利厚生費として扱われ非課税となるメリットがあります。

福利厚生費とは、業務には直接関係ない用途で企業が従業員のために利用する費用です。社員旅行費やレクリエーション費・健康診断費用などが代表例です。これらの費用は経費として計上することができ、課税対象からは外れます。

ただし税務上、従業員から徴収する社宅賃料が相場の50%を下回る場合は現物支給の給与とみなされ、「徴収した家賃と賃貸料相当額(※)との差額」が給与として課税対象とな流ので、注意が必要です。

※賃貸料相当額とは、次の(1)から(3)の合計額

 (1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

 (2)  12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))

 (3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

社宅契約の物件に住む従業員側のメリット

社宅契約の手続きをする女性 引っ越し

ここからは、入居する従業員からの視点で社宅制度のメリットを紹介していきます。

賃料を安く抑えられる

社宅は周辺の賃貸物件と比較すると安価で貸与されることが多いため、家賃を安く抑えることができます。

入居までの流れがスムーズになる

新入社員や転勤が多い従業員にとって、土地勘のない新しい勤務地での住居探しの手間やストレスがなくなるという大きなメリットがあります。
特に、異動までの期間が短い場合や子どもがいる従業員の場合などは、理想的な住まいを見つける苦労は大きくなるでしょう。その上、転勤のたびに敷金礼金を支払ったり、契約に必要な書類を作成したりとなると、経済的・心理的負担が大きくなることは必至です。

従業員に社宅を提供する時に必要な準備

社宅制度を導入し、いざ従業員を入居させる時に必要となる「社宅使用契約書」について紹介します。

社宅使用契約書を用意する

企業と入居する従業員との間で「言った・言わない」のトラブルになることを避けるため、社宅を提供する際には「社宅使用契約書」を交わすことが一般的です。この記事の後半で紹介する注意点を踏まえて作成してください。

社宅使用契約書とは

「社宅使用契約」とは、社宅を提供する企業と入居者である従業員が交わす契約のこと。そして「社宅使用契約書」は、その契約内容が取りまとめられた文書を指します。

社宅使用契約書に記載するべき内容

「社宅使用契約書」には、以下の内容を網羅して記載しているケースが一般的です。

対象の物件

社宅として提供する物件についての詳細情報(住所や建物名、部屋番号など)を記載します。

賃料およびその他費用の支払い方法

社宅使用料(家賃)の額を明記し、支払い期限や支払い方法、銀行振込の場合は振込手数料を誰が負担するかなどを明記します。

利用する従業員の義務

物件の適切な管理を行うことや、扶養家族を同居させる際は企業の許可を得ることなど、入居者が果たすべき義務を明記します。併せて、無許可での増改築など禁止事項も記載しましょう。

契約解除に関して

社宅利用の規定違反や賃料の滞納などがあった場合に、社宅使用契約を解除できることを記載します。

損害賠償について

入居者の故意過失により物件が損傷した場合、企業は入居者に対して損害賠償請求できる旨を記載します。

退去時の対応

入居者が退去すべき状況について明記します。以下はその一例です。

 ・転勤で社宅利用が不要になった

 ・規定違反で退去が命じられた

 ・(独身向けの社宅の場合)結婚した

 ・従業員でなくなった、など。

社宅使用契約書作成時の注意点

社宅使用契約の内容は、すべての従業員が理解できるよう、合理的かつ公平な内容であることが大切です。そもそも社宅制度とは、従業員が働きやすいよう住環境をサポートするための福利厚生ですが、その社宅使用にあたっての契約内容が不当な場合、制度導入目的の達成は遠のいてしまうでしょう。

また、その契約内容を文書化する際は、記載する情報に誤りや矛盾がないか、入念にチェックをして完成させる必要があります。

煩雑な社宅制度関連の業務を一任できるサービスを利用しよう

社宅運用に関する業務は、使用契約書の作成一つをとっても専門知識や労力が必要となる業務です。
その他にも、社宅物件の斡旋、入退去の手続きや管理業務などを含めると、その業務の幅広さと煩雑さは想像以上のものです。にもかかわらず、企業の担当者は他業務と兼任していることが多く、両立が難しくなることも少なくありません。

社内リソースや知見が十分にない場合は、社宅運用専門の代行サービスの活用がおすすめです。

「三優エステート」なら、社宅使用契約に関するアドバイスや文書のチェックはもちろん、その他の煩雑な作業を一任することができます。特にトラブル発生時は、迅速かつ適切な対処が求められますが、プロのサポートがあることでトラブルの影響範囲を最小限にとどめることも可能になるでしょう。

まとめ

「企業・従業員双方にとってメリットをもたらす社宅制度」として運用するには、企業・従業員両者の視点で入念に検討された社宅契約を締結することがポイントになります。どのような内容が適切なのか、また、現状の社宅契約の内容で十分なのか、判断に迷う場合は社宅運用のエキスパートにチェックを依頼してみましょう。

三優エステートは「従業員満足度を高めるための社宅運用」という観点で運用代行をしているため、戦略的に社宅制度を導入している企業にとっては、頼りがいのある運用パートナーです。アウトソースを検討する際は、ぜひ一度相談してみてください。

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