外国人入居者と賃貸契約する時の注意点を徹底解説
賃貸物件の空室対策が課題とされる昨今、日本に居住する外国人の増加に伴い、外国人との賃貸契約が注目を集めています。その一方で外国人入居者の場合、トラブルの発生が多いこともあり、外国人との賃貸契約に慎重なオーナーも少なくありません。
この記事では外国人との賃貸契約のメリットや注意点について解説します。
外国人と賃貸契約するメリット
少子高齢化に伴う労働力不足を背景に、外国人労働者の受け入れは年々増加しています。2016年にはじめて100万人を突破した外国人労働者の数は、2023年には200万人を突破(2,048,675 人)。届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。今後も増加の一途をたどることは間違いないでしょう。
一方で、外国人労働者の増加に比べて住宅の供給が少ないのが現状です。要因の1つとなっているのは、外国人との賃貸契約に関して、言語や文化が異なるために入居体制を整えているオーナーが少ないためです。外国人との賃貸契約はトラブルが起こりやすいイメージもあり、外国人の入居審査を通さないオーナーもいます。
外国人との賃貸契約を結ぶオーナーが少ないため、外国人との賃貸契約を増やすことで空室リスクを回避と稼働率改善のメリットがあります。
外国人と賃貸契約する時の注意点とは?

外国人の入居審査は入念に行う
一般的な入居審査では契約者の年収や勤続年数などを元に、家賃を支払う能力があるかどうかを確認します。しかし、外国人の場合は不法滞在、不法労働者、突然の母国への帰国などのケースがあるため、年収や勤続年数だけではリスクを排除できません。
特に不法滞在や不法労働者の場合はオーナーも刑罰を受ける可能性があります。
また、一度入居が決定してしまうと家賃の2~3カ月の滞納では強制退去ができないことが多く、オーナーへの負担が多くなってしまいます。このため、外国人の入居審査は日本人の入居審査に比べて念入りに行うことが必要です。
確認すべき事項としては以下の通りです。
- ビザの有効期限
- 在留資格の有無とその内容
- パスポート
- 修了証明書や在学証明書
- 日本の銀行口座や日本の携帯電話など
また、日本人に身元引受人がいるか、日本の在住歴、契約者の勤務先や過去の住所などを念入りに調査し、事前の調査で未然に防げるリスクを極力避けるようにしましょう。
契約内容を理解するまで説明する
外国人との賃貸契約の締結前に、賃貸契約の内容や入居の際のルールなどを日本人との契約締結時以上に入念な説明を行いましょう。なぜなら、一般的に日本人の入居者と異なり、日本の常識が通用しない可能性があるためです。また、言葉の壁もあるため、契約者の理解があやふやなこともあります。安易な契約は避けましょう。
具体的な事例として、契約者が不法滞在者の時に結果的にオーナーの過失となり、犯罪に加担したケースもあります。また、外国人入居者が転賃を行い、結果的に国外に逃亡して連絡がとれなくなった事例もあります。
契約時には誓約書を作成し、内容を十分に理解してもらった上で、契約書にサインをもらうことが必要です。また、契約書は外国人入居者の母国で使用している言語と日本語の両方で作成すると好ましいでしょう。
事前に説明して契約者から契約時にサインをもらうことで、万が一トラブルが発生したときに相手方に損害賠償請求を行うことができます。
保証会社のサポートを活用する
外国人入居者との賃貸契約のトラブルを防ぎ、リスクをできるだけ回避するためには外国人契約者に対応している保証会社を活用するとよいでしょう。
賃貸契約を締結するには連帯保証人が必要です。とはいえ、連帯保証人には誰でもなれるわけではなく、いくつかの条件を満たしている必要があります。
特に外国人の場合、条件を満たした連帯保証人を見つけることは困難です。とはいえ、万が一契約者が頻繁に家賃を滞納したり、無断で帰国したりすると、家主にとっては大きな損害を被ることになります。
この場合、保証会社を活用することで解決できます。
保証会社とは入居者の連帯保証を行ってくれる会社のことです。もし契約者が家賃を滞納した場合、家主に対して契約内容に従い立て替え払いをしてくれます。また、保証会社のサポートを受けることで、外国人居住者の管理も行いやすくなります。現状復旧工事費に対しても保証してくれることが多いなどのメリットもあります。
外国人入居者の想定されるトラブル
騒音問題
外国人入居者の騒音トラブルで代表的なものはパーティーによる騒音です。
海外ではパーティーは友人とのコミュニケーションを取る手段の一つとして、部屋内でパーティーを行う習慣があります。ハロウィンやクリスマスなどのイベントの時であればクレームになることはないものの、何もない日でも友人が集まってパーティーを行うということがあります。
日本では普通の日に騒ぐ習慣はありません。このため、普段静かに過ごす日本人にとっては外国人居住者の騒ぎは迷惑行為に映ります。
また、最近増えてきているのが「日常生活での騒音」です。例えば部屋をシェアして複数人で居住している場合、洗濯機を1日数回に分けて利用するため、夜でも洗濯機の音が聞こえるなどです。他にも足音や大きな声での会話などがあります。
騒音に対する意識は日本人と外国人では異なるため、近隣からのクレームにも悩むオーナーも少なくないようです。
ゴミ分別のルールを守らない
ゴミ分別のルールを守らない外国人居住者もいます。
日本では各自治体の分別ルールに従ってゴミを分別し、指定の日にゴミ捨て場に捨てます。しかし、外国ではゴミ分別などの特別なルールはありません。また、ゴミ収集日以外の日にもゴミを捨てることもあります。
特に日本は、諸外国に比べてゴミ分別のルールが細かく厳しい傾向があります。このため、ゴミを分別せずにそのまま捨ててしまうなど、ゴミ分別のルールが守られないことがあります。
分別されていないゴミは収集されずにその場にゴミが残ってしまいます。残ったゴミはカラスが食い荒らし、道路に散乱したゴミは通行する車に踏み荒らされ遠くに飛ばされます。そのまま放置されると悪臭が周辺に広がり、不快な状態となります。
また、指定日以外に捨てられた段ボールが雨ざらしで汚れが目立つようになります。そのため、外国人居住者と日本人居住者との間で悪臭や汚れでトラブルに発展するケースがあります。
部屋のDIY

外国では賃貸物件であっても壁の色を塗り替えたり、備え付けの家具や備品を自分の好みに改造することは当たり前のことです。このため、日本では賃貸物件を改造するのはいけないことが常識であっても、その常識が外国人には通用しないことがあります。
この外国人と日本人の常識の違いにより、日本人と同じ感覚で対応して契約時に説明を省いてしまうことで後にトラブルに発展してしまうケースがあります。外国人との賃貸契約を結ぶ際には部屋のDIYを行ってはいけないことをしっかりと説明しなければなりません。
万が一、DIYを行われてしまった場合は現状復旧費用を請求することになりますが、費用をめぐってトラブルになることがあります。この点も外国人に理解してもらうのは大変なので、事前説明は怠らないようにする必要があります。
家賃支払い遅延
賃貸契約を結ぶにあたっては、契約者の年収や勤続年数をもとに家賃を継続的に支払える能力があるかどうかを審査するのが一般的です。
ただし、外国人との賃貸契約においては、これらの情報だけで家賃支払い遅延リスクを回避できないことがあります。
また、家賃支払いに対して日本人と異なる価値観を持っている可能性もあり、「お金がなくて支払えない」という理由だけでなく、「どうせ退去するから」「どうせ帰国するから」という理由で家賃を滞納したまま退去する可能性もあります。
実際、家賃滞納したまま退去してしまったというケースは少なくありません。
家賃滞納により退去勧告を行うことができるという法律はあるものの、数回の家賃滞納や支払う意思がある場合は退去させられないのが現状です。仮に、滞納が一定期間続いた場合は所定の手続きを踏めば退去勧告できますが、その手続きも簡単ではありません。
このため、オーナーからすると外国人に入居してもらったとしても、家賃滞納に対するリスクに不安があるのが実情です。
多人数同居・又貸し
「1人に貸していたはずなのに複数人が同居していた」といったトラブルも珍しくありません。
外国人を受け入れる賃貸物件はまだ少ないため、一人の外国人と賃貸契約すると、その友達や職場の同僚と勝手に多人数同居や又貸しするケースがあります。賃貸契約時に多人数同居や又貸しをしてはいけないと説明しても、「住むところがないため一時的に部屋を貸しているだけ」と、悪いことをしている意識がない人もいます。
また、多人数同居や又貸しが発覚しても、一所に住んでいる人はそもそも借りる所がなくて困っていることでなかなか退去してくれないことがあります。
このような事態が発生する理由として一番考えられるのは、事前説明が不十分であることが考えられます。このようなトラブルを避けるためにも多人数同居や又貸しが発覚した場合は契約解除になることを伝え、理解してもらうことが大切です。また、契約書に明記することでリスクヘッジにもつながります。
突然の退去
外国人への賃貸契約で最も深刻な事態が突然の退去です。突然音信不通になり、部屋に様子を見に行ったらもぬけの殻となっていたというケースです。オーナーが知らぬ間に居住者が退去していては家賃も支払ってもらえません。
仮に入居者が母国に帰国した場合は、オーナー個人では連絡を取ることすら困難となってしまいます。
そうなると家賃の回収だけではなく、荷物の型付け、クリーニング、現状復旧費用などもオーナーの負担となってしまいます。
このような状況になることを想定して、事前に外国人入居者の勤務先や保証人の連絡先を確認しておきましょう。
また、事前にペナルティや対策方法を検討しておくことも大切です。無断退去した場合は入国管理局や母国の大使館に連絡することを伝えておけば、安易な無断退去を防ぐことにつながります。
空室を社宅として提供してみよう!
先述の通り、オーナーが独自で外国人と賃貸契約を結び、部屋を貸すにはさまざまなリスクがあります。とはいえ、外国人に部屋を貸すことで空室対策や家賃収入を得ることができるメリットもあります。そんなときに便利なのが「三優エステート」のサービスです。
三優エステートのサービスを利用して、なかなか埋まらない空室を社宅として提供しませんか?
今後、日本に住む外国人が増えることが予想されるなか、経験豊富な三優エステートであれば安心です。
日本は出生率の低下による人口減少に伴い、空室率の上昇が不動産業の深刻な課題の一つと言われています。特に、空室対策として外国人に部屋を貸すかどうかを悩んでいるオーナー様にとって、三優エステートの「社宅代行サービス」を利用し、借り上げで社宅として提供することは賢い選択の一つと言えるでしょう。
まとめ
この記事では外国人との賃貸契約に関する注意事項やトラブルについて解説しました。
日本の人口減少に伴い空室率が上昇する中、日本に住む外国人に部屋を貸すことは有効な空室対策となるでしょう。その一方で、習慣や常識の違いなどから、外国人に部屋を貸すことでトラブルが発生するケースもあります。このことから、外国人に部屋を貸すことに慎重なオーナー様が多いのも事実です。
しかし、そんなオーナー様でも安心して外国人に部屋を提供できるのが「三優エステート」のサービスです。
外国人向けの住居提供でノウハウを培ってきた三優エステートの「社宅代行サービス」の利用で、空室対策の解決策として検討してみてください。